平野秀秋ゼミ 2001年度・2000年度・1999年度卒論一覧

(原本は法政大学社会学部刊『卒業論文目録』。50音順配列。スペースの関係で副題を変えたものがある。丸括弧内は評者平野のコメント。アステリスク*を付したのは中でも特に上等なもの。)

 (2001年度)
 *大場千景「ジンメルにおける個人の非主観化の問題」(表題通りの論文。『貨幣哲学』『生の哲学』などの本格的研究)
 *新村秀樹「小規模データへの決定木分析の適用」(これも表題通りの論文。一種のクラスター分析に関わるエチュード)
 (この年度は、高幼児死亡率による少子化を生き抜いた結果か、どれも優秀であった)

 (2000年度)
  相星敬介「日本の街には何色が必要か」(作者は色彩検定合格の努力家。だがこの題は大風呂敷過ぎて身丈が及ばず?)
  大内潤也「90年代再考」(bubbleを語らずnostalgiaを語る。このような人も居てよいのが90年代。気怠いとよりよかった)
  上村敦夫「ジャズとアドリブ:実演経験からの考察」(作者はジャズ・フルート奏者。やはり五線紙がないと書き難い?)
 *神葉綾子「帰国子女として」(評者は引揚者という1940年代の帰国子女。帰国子女の辛酸を思えという内容に打たれる)
 *小出剛士「自画像」(上と同じ帰国子女の在外体験。持って重い内容を淡々と活写。何年に1人の力作卒論)
  染野 輔「麻雀と世間」(麻雀史と世間の白眼視を説く。でも麻雀はマスコミ同様、ウラ文化と言えないのでは?)
  千葉康弘「大長編『ドラえもん』の作風と日本社会」(よくこんなに読むなーと思うほど詳細。社会は無視すればよかった)
  宮薗裕樹「貝について」(小説化された自伝。カフカ風だが、残念なことにカフカには及ばなかった。)
 *渡邊玲子「A Palo Alto Document」(徹底して自分のための、細大漏らさぬ体験記録。卒論〜論文はこうであってよい見本)
  和田正也「ベースボールを探る:そのはじまりと発展」(新大陸に渡って以後の歴史。勢い余って現代に及んだ?)

 (1999年度)
  阿部 亮「日本の大学の現状と問題点について」(筆者は大学職員に就職するので、今後もっと深い知見を得るはず)
  磯部厚兵「大衆レジャーとしての競馬」(在学中今ランボーとして鳴らしたが、やはりアフリカに消息を絶つは難し?)
 *内山亮司「現代サッカーが抱える危機とこれから」(これをベストに押したい。金まみれ現代スポーツの核心を突く)
  小栗加恵「アイルランド史」(前半のケルト史を深めればより上等になったはず)
  小田部馨「ディープエコロジーを推し進めるための考察」(苦心している割にパンチに欠けるか?)
  神谷有輝「人為的経済動物がもたらすもの」(人為的経済動物とは競争馬。他にも人為的経済動物はいるのだが...)
  串野友和「さまよう思考たち」(上等な断想集の感あり、好感が持てる)
  小松和彦「タテジマ至上主義」(威圧的。怖くてコメントは遠慮したい...)
 *河野洋輝「花の浮島礼文島」(花の浮島の楽しい花の文章。これこそは写真が欲しかった)
  水野修一「エレクトリック・ベースのすべて」(文字通り「すべて」。製本も凝っており美麗写真入り、参考になる)
 *小森弘和「近世における城郭の研究」(日本城郭研究をよく踏まえている。戦国武将の目が加わればと惜しまれる)
  佐々木良「青春のかけら」(学生生活グラフィティの感あり。文章力に優れたセンスがある)
  島川裕介「中国人は何故日本が嫌いか」(読書に在中経験も交えた考察。若干決め手に欠ける恨みあり)
  清水健一「文化・歴史・民族的要素の反映する世界のサッカースタイル」(主題に文章力が追いつかない恨みあり)
  田中佑也「青少年非行の時代的変遷」(なぜこのような問題に関心を持つか、やや分かり難い。本人は非行でない)
  牧野大志「ロンドンのミュージアム・ギャラリーについて」(滞英体験記。他人を面白がらせることの難しさ)
 *松本剛典「電子出版の現状と今後の展開」(筆者の志望進路だけに、資料渉猟の行き届いた力作)
 

 

 

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