江戸と中国の印刷・出版に関する読書案内
『江戸の本屋さん』 今田洋三著 NHKブックス 一九七七年
『未刊史料による日本出版文化シリーズ』 弥吉光長著 ゆまに書房
『近世貸本屋の研究』長友千代治著 東京堂出版
『前田愛著作集第二巻 近代読者の成立』筑摩書房
『日本文壇史』伊藤整著 14巻 講談社文芸文庫
『江戸メディア・アート』講談社 日本の美と文化 第15巻
『御存知(ごぞんじの)商売物(しょうばいもの)』山東京伝著
『江戸の本屋 上・下』鈴木敏夫著 中公新書
『蔦屋重三郎出版書目年表稿』鈴木俊幸著 日本近世文学会『近世文藝』35、36、37
雑誌
展覧会カタログ
『版本』たばこと塩の博物館 一九九〇年
館蔵史料集なのだが、江戸時代の本の中身が相当数、これによって見られる。
『寛政の出版界と山東京伝』たばこと塩の博物館 一九九五年
優れた視点の展示だった。山東京伝は出版文化の中で理解すべきだ、という考え方は見識である。
『世界のなかの江戸・日本』江戸東京博物館 一九九四年
東洋文庫所蔵の書籍や地図を大量に展示して見事だった。東洋文庫はヨーロッパ、アジア各国、日本 の様々な古典書物をもっていて、とくに古活字本の様々が面白い。
『近世活字版図録』青裳堂書店・日本書誌学大系六一
古活字本かなり多くを見ることができる。
『中国古代版画展』町田市立国際版画美術館 一九八八年
この展覧会はすごかった。二度とあれだけのものは見られないかも知れない。版画といってもまさ に、文字と絵が一体になった中国の本の歴史、印刷の歴史であり、江戸の印刷を知るものにとっては、 そのかかわりに思いを馳せて興味が尽きない。他の美術館ではとてもおめにかかれないような、また、 本としても他に類例がないような、見事なカタログ。
『中国の洋風画展』町田市立国際版画美術館 一九九五年
前者と合わせて中国の印刷世界の全体像がわかる。この二種のカタログはおすすめである。
『司馬江漢百科事展』町田市立国際版画美術館 一九九六年
『版と型の日本美術』町田市立国際版画美術館 一九九七年
版画の歴史がじつによくわかる。
『グーテンベルクの銀河系』(マクルーハン著 みすず書房)
活字文化そのものを批判的に見るなんといっても魅力的な本。
『活字文化と音声文化』W.Jオング 藤原書店
これもぜひ、併せて読むといい。
『本の都市リヨン』宮下志朗 晶文社
都市空間の鳥瞰図の中に、本とその作り手たちが鮮やかに見えてくる。
『消えた印刷職人』モンフロワ 晶文社
一六世紀リヨンの印刷職人を主人公にした実録小説である。
『書物の出現 上・下』フェーヴル+マルタン著 筑摩書房
『書物の本』プレッサー著 法政大学出版局
『書物の歴史』グロリエ著 白水社クセジュ文庫
この三種のなかでは、ヨーロッパにおける紙の出現からはじめて、活字の導入過程や苦労まで詳細に追った『書物の出現』がやはり面白い。
『読書と読者』ロジェ・シャルチエ著 みすず書房
『書物から読書へ』みすず書房
『読書の文化史』
読者の側から書いた三冊。後者二冊は、フランス一八世紀の公共図書館から一農民の読書リストまで扱ったもので、とくに民衆本の青本シリーズに注目し、その流通力が当時の啓蒙思想を超えていたことを立証している。
『民衆本の世界』マンドルー著 人文書院
青本の中身を扱った本。民衆本の世界は知識人の世界とは異なる次元で展開する。
『革命前夜の地下出版』ロバート・ダーントン著 岩波書店
フランス革命が啓蒙思想によって起こった、という一般に信じられている見解の嘘をあばいてゆく。むしろフランス革命の根底にあったのは民衆の読んでいた宮廷スキャンダル本だというのである。書物・学問・思想と歴史とのあいだの、もっともらしく語られる因果関係が疑わしく見えてくる刺激的な本だ。書物が、ヨーロッパでは国を超えた印刷職人のネットワークによって作られてゆく様子も、魅力的だ。ただし、これも残念なことに絶版で再版未定とのこと。古本屋か図書館で捜すしかないようである。
『猫の大虐殺』ダーントン著 岩波書店
同じ著者によるもの。意表つくアイディアの連続と、それを裏付ける前代未聞の質量とデータに圧倒される。
"The Business of Enlightenment:A Publishing History of the Encyclopedie,1775-1800"(Robert Darnton, Harvard University Pr,1979)
『猫の大虐殺』に取り上げられた百科全書派の業績を出版という観点で徹底的に書いたダートンの本。
"Revolition in Print: The Press in France 1775-1800" (Robert Darnton & Daniel Roche(eds.) University of California Pr,1989)
ダーントンが中心になって編集した一四のエッセイで構成されており、一八世紀後半の「パリの本屋さん」をめぐる問題をほぼ網羅してくれているありがたい本。
『フランス百科全書絵引』平凡社
これは百科全書派の出版。ジャック・プルーストのこれは、当時の出版事情が絵でわかる。
『イギリス出版史』フェザー著 玉川大学出版部
イギリスに限定して懇切丁寧に歴史をたどった本。産業革命前の印刷・出版業者の組合のことや、すでに書籍カタログが出ていてそれが市場を活性化してゆく様子、また一八世紀以降のジャーナルの隆盛と、その基盤となるジェントルマンのことなどが、具体的にわかる。
『十八世紀イギリス出版文化史』A.S.コリンズ著 彩流社
前著と同様の本。これは、作家と書籍商、作家とパトロンの関係に詳しいし、版権争議や当時の読者層について書いているところが、特徴。
『ロンドンの見世物TUV』(国書刊行会)
"The English Common Reader: A social History of the Mass Reading Public 1800-1900"(Richard D Altick, University of Chicago Pr,1957)
2冊とも、社会史家、リチャード・オールティックの名著。
"Samuel Johnson and the Impact of Print"(Alvin Kerman, Princeton University Pr,1987)
ぼつぼつ出ていた関連書もほぼ絶版ということで困るが、それらを全部読んだことになる便利な一冊。単なる社会史にとどまらず、マクルーハニズム、メディア論へと一八世紀の文士、本屋の世界をつなげてみせた画期的な書だ。江戸時代にあたるころの西欧出版事情は、ダーントンとこのアルヴィン・カーナンで十分だろう。
"Clarissa's Ciphers"(Terry Castle, Cornell University Pr,1982)
近々日本でも紹介される新歴史派、テリー・キャッスルのサミュエル・リチャードソン論。自ら印刷屋でもあった蔦重のような小説家が、女性を主人公にして書いたという面白い構造を精読してスリリング。テリー・イーグルトンの『クラリッサの凌辱』(岩波書店)と併読できる。
『野蛮の博物誌』マーシャル+ウィリアムズ著 平凡社
書物による文化について書かれた本。イギリスの書物を通して非ヨーロッパ社会がどれほど野蛮に、曲解されて伝えられていったかを暴いたもの。
『アートフル・サイエンス』スタフォード著 産業図書
一八世紀に図版というものがいかに大きな力をもっていたかや、科学図版と美術がまだ截然と分けられていない時期に、科学図版がいかにして美術をリードしていったかを書いた本。
(注:この「江戸と18世紀ヨーロッパの印刷・出版に関する読書案内」は、田中優子が『国文学』(1997年9月号「特集・近世の出版――本屋と作者」 学燈社)のために書いた「読書へのアクセス」の文章を箇条書きに改めたものである。)
新聞に関する読書案内
『日本初期新聞全集 64巻 補巻2』ぺりかん社(多摩)
『江戸・明治かわらばん選集』人文社(多摩)
『新聞錦絵』毎日新聞社(多摩)
『日本ジャーナリズム史研究』西田長寿著 みすず書房
『朝野新聞の研究』鵜飼新一著 みすず書房(多摩)
『日本文壇史 14巻』伊藤整 講談社文芸文庫(多摩)
"THE ILLUSTRATED LONDON NEWS 1842-1848" 1〜13巻(多摩)
以上のうち、(多摩)と表記があるのは、多摩図書館に入っているもの。
布に関する読書案内
『世界の名著 ガンジー・ネルー自叙伝』中央公論社(多摩)
『ガンジー伝』J・イートン著 岩波少年文庫
『ガンジー自叙伝――真理の実験――』池田運訳 講談社出版サービスセンター(多摩)
『わたしの非暴力 1,2』ガンディー著 森本達雄訳 みすず書房
『カンディーの真理2』E.H.エリクソン著 みすず書房
『柳宗悦全集』(多摩)
『インド染織資料集成 ラージャスターン』岩崎美術社(多摩)
『アンデスの染織』同朋社(多摩)
『ジャワ更紗』吉本忍著 平凡社(多摩)
『在外日本染織集成』小学館(多摩)
『鐘紡コレクション1〜5』毎日新聞社
(多摩) 『日本の染織1〜10』中央公論社(多摩)
以上の大型本以外に、多摩図書館753/1〜76 は、染織関係の書物が集中しているところ。
また、布に関するこれ以外の本と洋書参考文献については、このサイトの次の論文の末尾を参考のこと。
関連するリンク
"News Paper" in Encyclopaedia Britannica