1才児時代のチンク

 チンクの友人がまだ1才になるかならないかの時の写真を見せていただき、写生人はとても驚きました。この番外編を作ろうと思ったきっかけでした。それは下でゆっくりお目にかけますが、平成15年の内閣府による「動物愛護にかんする世論調査」というのがあり、現代のペット飼育事情がよく反映されています。「生活の潤い」という意義を上げる人が増加し「防犯や留守番」が減少しているなど、当然だけど面白い資料です。
 「防犯や留守番」は攻撃を期待しているのですから、係留して他の人や犬からなるべく隔離する必要があります。そうでなく潤いが目的なら、幼時から社会性を大事にし、ほかの人とも犬とも積極的に交流させる必要があります。二つは両極端の価値観です。どちらかはっきりしないのは、人も犬も不幸です。
 「生活の潤い」が都市型の動機であることも明白です。他人と交渉のない豪邸とか山奥の一軒家でもなければ、防犯が犬を飼う動機にはならないでしょう。また犬種により攻撃性が植えつけやすいものと逆のものがあるのも一半の事実ですが、友好的なドーベルマンやシェパードや柴犬もたくさん居ます。育て方の影響の方が大きいです。
 また「購入する」ときだけ潤いを感じ、あとはどんな飼い方をしてもたかがペットだからかまわないというのも問題です。そこが「もの」と「生き物」の違いでしょう。「動物愛護法」の基本原則も、飼われる動物の「習性を理解して人と動物の共生をはかる」ことにあります。要は、飼われる動物のがわの福利を尊重する市民的義務があるということでしょう。
 犬はもともと人間や仲間とともに労働する生き物ですから、闘犬や番犬でないかぎりどの犬種も開放的な運動が何より大事です。現代都市は人も犬も住みにくくなっています。飼い主の真剣さが問われる時代です。
 大きな話になりましたが、これから1才児チンクの写真をお目にかけます。2001年に出たC3040というカメラで撮ったものです。出はじめたばかりのデジカメですから少々画質の悪いものがあるかも知れません。



まずこの写真を見て下さい。保健所から来たばかりで人間不信に怯えきった表情。人が居ると食事もしなかったとのこと。
保健所であれブリーダーであれ、ひきとられたばかりの犬はたいてい期待と不安の両方を、深く心の中に抱えています




上の写真は、実はチンクの大親友ノコちゃんの幼少時です。柴犬系のクロスブリードのようです。
上の写真を、現在の堂々たる姿と比較して下さい。ここまで育てた奥田さんのご苦労は大変だったでしょう。




一方これがぼくが引き取ったチンクの最初の写真です。1才1ヶ月。まだくさりで繋がれていました。
保健所に連れて行かれたノコちゃんほどではないけど、どこかまだ不安げです




これも1才1ヶ月頃のチンク。塀の隙間から表を覗いています。目が赤いのはストロボです。
これを見てチンクが外界に旺盛な好奇心を持っていることに気付きました。思い切ってくさりを廃し庭に放しました




好奇心は動物の心の基本です。これがあるから学習が成立します。チンクの好奇心は可能な限り生かそうと思いました。
仕事の合間を縫って頻繁に河口に連れ出すと、チンクは真っ先にサーファーの方々のところに飛んでいきます。




サーファーに犬好きな方が多かったのは有り難かったです。
あとはリードを持って河口の隅々を一緒に探検です。いま思うとよく仕事と両立したものでした。




こうしてチンクは、最初の友人で1才先輩のハナちゃんと出会うことができました。
飼い主金城さんはたえずこのドーベルマンと行動を共にし、言葉だけで自由に扱っておいででした。




この尊敬する先輩から、チンクは大事なことを沢山学びました。一番大きいのは群の楽しさを感じたことでしょう。
ぼくも金城さんに犬の飼う上で大事なことは何かを、あれこれ沢山教えていただきました。




それから程なく、河口近くに同級生の群が出来ました。犬種はさまざまですが、チンクが社会性を獲得した貴重な場所です。
ビーグルの飼い主星野夫人が「The river runs through it.」という名前を付けてくれました。通称「リバラン」は最盛期11頭でした




みんな泥んこをかまわず、元気に遊びまわりました。




この黒ラブはタロウ君。ここの写真はみな2001年の夏、チンクが1才と4〜5ヶ月頃です。




しっかり雑巾色ですが、運動大好きのチンクの足腰はこの頃に目に見えて逞しくなりました。
夏で河水を飲みます。念のためぼくも手で掬って飲み問題ないことを確かめました。犬の胃酸は人よりさらに強力です。




チンクの顔もやっと落ち着いて、精悍な大人の顔になりました。




ゴー君、タロウ、チンク。この夏は大小かまわず取っ組み合いで、遊びながら筋トレです。




これもそう...




これもそうです。11頭もいると、夕方河に行けば誰かかならず遊び仲間がいます。




しきりにモグラを掘り出したのもこの頃からでした。




もっとも大きな変化は、この年12月にチンクが進んで家の中に入って爆睡しはじめたことです。
やっと信用されたのにうれしくなって首輪を取ってやるのも忘れていました。以後ここはチンクに占領されたままです。




これはいまも遅めの時間なら河で会えるムック君です。この写真も1才児時代です。
ほかの同級生にはその後あまり会えなくなりました。お引っ越しなど人間がわの事情が犬には影響します。

ともあれチンクが今のように育ったのは、ハナちゃんや「リバラン」の皆さんのおかげが大きいです。
やはり、犬は群の動物です。群が居ないか群の中に安住できないのは、犬にとって耐えがたいことです。問題児とされる犬にはこうした環境の影響が見られます。
またさらに影響が深刻なのは、宅地造成や公共事業の公園・運動場造成など、人間による大規模な自然環境破壊かも知れません。

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